「LIVE FOR 君の味方2006 IN長浜」へようこそ
清水の妻の陽子です。今日はみなさん、遠路はるばるの方もご多忙な方もようこそこの場所へ。
本当にようこそお越しくださいました。スタッフ・遺族一同心より感謝しています。
毎日のように彼を想ってくれた人、思い出しては彼の歌を聴いてくれた人、友達から勧められるままに来てくれた人、お目当てのアーティストに逢いに来てくれた人。それぞれがそれぞれの思いの中で、今日のステージを通して清水和彦を感じてください。イベントが終わった時に、やっぱり音楽っていいな、イガイト長浜っていいな、そして、何かしら心に響くもの、素敵な出会い、新しい自分、そんなプラスαを見つけていただけたら幸いです。
清水和彦三回忌追悼ライブ。皆さんの願いと協力で今日の日を迎えることができました。本当にありがとうございます。
追悼の意味でのステージはこれで最後にしたいと思っています。
けれど、「長浜で音楽祭を!」と夢を掲げていた彼のために、これから先も時期を変え場所を変え形を変え、でも大切な思いは変わらず、引き続き長浜でライブを開催していきたいと思っています。
そして気まぐれ清水和彦をここは見倣って、時々サプライズに清水和彦メインライブをやってもいいかなぁとも思っています(笑)。ドキドキがたくさんつまった長浜でしか味わえない、そんなイベントを開けたら最高。
そんな思いで動き始めた第1回目の昨年のイベントに続き、また今回新たなるスタートを切れたことをとても嬉しく思います。
スタッフ、素晴らしいアーティスト、そしてこっそり陰で支えてくれた人たち、そして、誰よりも今日ここへお集まりの皆さんに心から感謝しています。
今日ののプログラムは第一部冒頭にビデオ映写。シンプルだけどたくさん思いを込めた作品に仕上がりました。(この場を借りて素材として画像を使わせていただいた方にお礼申し上げます。どうもありがとう!)。そして4組のミュージシャンのステージ。どんな熱いステージを魅せてくれるでしょうか。それぞれが素敵な歌を持っているにもかかわらず、清水和彦に1曲捧げてくれるということ。私も大好きな4組仲間たち。とにかく楽しみです。そして第二部のイツカノオト。実は私も初めて聴く「いつかの音」。聴くチャンスはあったんだけれど、この日を初めて出会う日にしたかった。今日初めて触れる音。でも「いつかの音」。もうドキドキわくわくします!
でも改めて思います。
彼はもう、いないんだなぁ・・って。
2年前の今日。丁度今頃彼はFM滋賀へ向かう道中でした。家を出る時、「今回は荷物多いからなぁ。川崎へ帰る時大変やでぇ。じゃぁいってきまぁす。」といつものように、本当にいつものように笑って出かけて行きました。
でも、そう言ってたのに、次の朝自分だけギター1本持ってそのまま遠い旅路に向かってしまいました。
たくさんの荷物と山積みの問題と、抱えきれないほどの想い出を遺して。
清水和彦はこう言いました。
「今の瞬間右を選んだ僕と、左を選んだ僕は、二つの道に分かれて、だけどどこかに、どこかの次元に、その二人の僕が存在するんだ。そしてそんな少しずつ違う”僕”が無数にいて、たまたま今の僕はその無数分の1の僕なんだよ。」
もしかしたら彼は、どこかの世界では、病院で横たわっているかもしれない、あんなことがあったねと笑っているかもしれない、七那音の妹か弟の名前を考えているかもしれない、音楽をやめているかもしれない、ただの同級生かもしれない、生まれた街が違うかもしれない、出会っていないかも・・しれない。でもそんな無数の彼が今もどこかの世界にいて、その人生を歩いているって思うと楽しくなる。ただ、私は無数にいる私の中で、一番辿りたくなかった彼のいない人生を歩いている。でも思う。彼が言ってた無数分の1の自分の意味を。何を選ぶか、どう生きるか、無数にある道を今の自分ならどう歩くか。
彼がまるで陽が昇り陽が沈むかのごとく、あたりまえに、けれど力強く、私やみんなに伝えてくれた事の数々。大切に受け止めて明日へのパワーにしようと思う。辛いけど歩こうと思う。
私と彼は価値観は同じだったけれど、性格も考え方も真逆でした。前向きな彼、後ろ向きな私。冬が好きな彼、夏が好きな私。正直だけれど素直じゃない彼、素直だけれど正直じゃない私・・でも一番違っていたのは、「人間誰もが所詮ひとりだけれど、きっと最後はひとりじゃないんだ」と思う彼と、「人間ひとりで生きてはいけないけれど、最後は誰もがひとりぼっちなんだ」と思う私。
彼がいなくなったとき、「うそつき。やっぱり私、ひとりぼっちになっちゃったじゃん、うそつきうそつき」と心の中で彼に怒っていました。
でも今の私はひとりじゃない。彼が遺してくれたもの、その全てが私を決してひとりぼっちにさせないでいてくれる。そして、彼が言ってたように、なんだか最後もきっとひとりじゃないような気さえしている。
たくさんの味方がいる。そして私も誰かの味方でありたいと思う。味方の味方。味方がつながればこんなに素敵なことはない。
「君の味方になれることが 僕の最大の味方」
そんな風に思えれば、きっと優しくなれる。強くなれる。
そして。
どうか皆さん、彼のことをひとりぼっちにさせないであげてください。1年に1度でもいい、特別な日だけでいい、彼の歌を聴いてあげてください。彼の話しを聴いてあげてください。ひとりじゃない・・彼の、祈りにさえ似た強い思いをどうか本物にしてあげてください。いつの日か出会ったとき「ほらね、ひとりじゃないだろ?」と言う彼に、私から笑って「ごめん」と言わせてください。
振り返れば昨日の事のような、思い出せばもう数十年も昔のような、そんな彼との思い出。
それはそれは不思議なくらい、あの日の惨事が薄れてしまうほどの素敵な思い出。
そして今も尚私を勇気づけてくれる歌たち。
あの日にいなくなったはずなのになぜか過去に留まっている気がしない。
ずっとずっと先の未来で待っていてくれるかのような、今まさにこの瞬間にもそばにいてくれるかのような。
想い出は色褪せることなく 未来はいつも輝いている。
皆さん、今日は本当にありがとうございます。どうか楽しいひと時を清水和彦と共に過ごしてください。
2006.1.28 ありったけの感謝の意をこめて 清水陽子